東京高等裁判所 昭和27年(う)1055号 判決
原審公判廷において被告人三名が「自分等は其の直前飲酒し犯行当時酩酊して居た」云々と供述し、弁護人が被告人等は当時心神耗弱の状態に在つた」旨主張したに拘らず、原判決が之に対し何等の判断を示さなかつたことは所論の通り記録によつて之を認め得られるから、此の点に於て原審は刑事訴訟法第三百三十五条に違背し判決に示すべき判断を遺脱したものと謂わねばならない。
然し、右の判断遺脱は同法第三百三十五条、第三百七十八条、旧刑事訴訟法第三百六十条、第四百十条第十九号第二十号等の諸規定の解釈、其の沿革等に照し、現行刑事訴訟法第三百七十九条に所謂訴訟手続に法令違反のあつた場合に該ると解するのを妥当とするところ、被告人三名の司法警察員に対する各供述調書、同原審公判廷に於ける供述、原審証人宮尾篤の供述其の他記録を精査しても被告人三名が本件犯行当時刑法第三十九条第二項に所謂心神耗弱の状態に達する程酩酊して居たとは到底認めるに足りないから、原審に於ける右主張は理由がなく、従つて原審が之に対し判断を示さなかつた違法は結局に於て判決に影響を及ぼすものでないと解される。
仍て此の点の論旨も採用に値しない。